重岡 成

植物の環境ストレス応答・耐性の分子機構解明

画像 行動の自由を持たない植物は、日々の環境変化に応答(馴化)し、さらに強光、 乾燥、塩、低(高)温など複合的な激しい環境変化(ストレスと呼ぶ)に対応する ことで生き残っている。環境ストレスが植物にもたらす障害の多くは活性酸素 種(ROS)に起因することが知られている。ROSの過剰な蓄積は細胞内の酸化還元 状態(細胞内レドックス状態)を変化させるとともに、細胞機能障害や細胞死を 引き起こす。一方、細胞内レドックス変化はシグナルとして作用し、環境スト レス応答時の防御系の発現をはじめ、細胞分化や伸張、細胞周期、プログラム 細胞死、光合成反応などの生理現象の制御に関与することが明らかになってき た。本研究課題では、細胞内レドックス制御とそれに伴う酸化的シグナリング の分子基盤の解明を行うと共に、光合成炭素代謝制御機構を明らかにする。さ らに、関連する遺伝子群の導入により、環境ストレス耐性能および物質生産能 を強化した植物の分子育種を目指す。 画像