アグリバイオシンポジウム2015の報告

画像   2012年以来、私どもは、私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「環境調和を志向した革新的植物アグリバイオ技術の統合型研究拠点の形成」の支援を受け、 アグリバイオ・シンポジウム2012「未来を切り開くアグリバイオ技術:植物機能の基盤解明と人類へのアウトプット」、アグリバイオ・シンポジウム2013 「構造生物学が推進するアグリバイオ技術革新」、アグリバイオ・シンポジウム2014「生物的および非生物的環境との調和を志向した植物アグリバイオ技術革新」という 主題のシンポジウムを、近畿大学農学部において開催してきました。これらの企画は、我々のプロジェクトを効果的に推進するために、また大学院生たちのモチベーションを 高く保つために、大きな役割を果たしてまいりました。しかし、いずれのシンポジウムにおきましても、主体となったのは教員であり、そこに大学院生を始め若い研究者たちの存在感は 比較的薄かったように思えます。そこで、私たちは近畿大学大学院生および若手研究者の育成を目的とする、アグリバイオ・シンポジウム2015「植物・微生物科学研究の次世代を担う若手研究者」と題するシンポジウムを開催いたしました
  このたびのアグリバイオ・シンポジウムにおいては、上に掲げた目的を達成するために、大学院生およびその他若手研究者に話題提供およびシンポジウムの進行を担当してもらい、 教員は努めて傍観者として振舞うようにいたしました。画像このプロジェクトのテーマ1に属する川ア研からはD2の山田健太くんが「植物免疫における MAPK カスケードの活性化機構」について話していただき、 同じくテーマ1の重岡研からは研究員の野志昌弘くんが「葉緑体 H2O2 に由来する酸化的シグナリング」について話題提供をしていただきました。 もう一つのテーマ1の研究室、内海研からはM2の3名(三輪瞬平くん、清水莉子さん、羽田朋子さん)が細菌の二(三)成分制御系の分子機構およびそれをターゲットにした抗生物質の開発 について発表していただきました。一方、テーマ2の深溝研からはM1の高島智也くんと河本大毅くんが、スギ花粉アレルゲンの一つであるCJP-4キチナーゼおよび高い分子量をもつAeromonasキチナーゼの構造と機能について話していただき、 松田研からはD3の阪森宏治くんとM2の宇都宮麻衣さんから除虫菊のピレスリン生合成に関する酵素系に関する話題を提供していただきました。最後のグループとして、森山研からM2の久後裕菜さんがニコチンの大動脈血管に対する影響について、 そしてB4の村上浩規くんがダイズタンパク質の経皮感作について話していただきました。いずれの発表に対しても若手研究者による熱心な討論が行われ、これからの近畿大のアグリバイオ研究に大きな可能性を感じることができた次第です。(シンポジウムのプログラムはこちらをご覧ください) 画像
  シンポジウム終了後は、JR奈良駅前「竹取御殿」において懇親会を行い、さらに情報交換を深め研究室間の懇親の和を広げることができ、私大戦略的研究支援プロジェクト主催の第四回目のシンポジウムを成功裏のうちに終えることができました。 話題提供していただきました院生および若手研究者の皆さん、またこのような企画に対してご理解とご協力をいただきました先生方、本当にありがとうございました。


プロジェクト代表
深溝 慶