アグリバイオシンポジウム2014の報告

画像 一昨年以来、私どもは、私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「環境調和を志向した革新的植物アグリバイオ技術の統合型研究拠点の形成」の支援を受け、 アグリバイオ・シンポジウム2012「未来を切り開くアグリバイオ技術:植物機能の基盤解明と人類へのアウトプット」、アグリバイオ・シンポジウム2013「構造生物学が推進するアグリバイオ技術革新」という主題のシンポジウムを、 近畿大学農学部において開催してきました。いずれのシンポジウムにおきましても、我々のプロジェクトを効果的に推進するために、また大学院生たちのモチベーションを高く保つために、大きな役割を果たしてまいりました。同様の企画を通して、 このプロジェクトをさらに発展させるために、このたび、アグリバイオ・シンポジウム2014「生物的および非生物的環境との調和を志向した植物アグリバイオ技術革新」と題するシンポジウムを開催いたしました。
  シンポジウムのタイトルに示す通り、このたびのアグリバイオ・シンポジウムは「環境との調和」に焦点をあてました。古くから使われている言葉で、それほど新鮮味を感じないテーマではありますが、 バイオ技術が大きく発展した現在においても、このテーマはいまだに重要なものとして位置づけられています。 画像 このシンポジウムは、そのような古くて新しい課題を中心に据えた6つのトピックスで構成されています。まず、川口先生(基生研)からはマメ科植物と根粒菌との共生について、 阪井先生(京大・院農)からはC1微生物との共生について、それらの分子基盤に関する話題が提供されました。イネといもち病菌との相互作用解析から見出された新たな情報は西澤先生(生物資源研)から、 光合成能強化に伴う植物代謝や形態に対する影響については田茂井先生(近畿大院農)からお話ししていただきました。村田先生(岡山大院)には気孔運動によるストレス耐性機構に関する話題を、また羽鹿先生(作物研)にはゲノム情報に基づいた大豆育種技術の開発に関する話題を提供していただきました。 画像 これらのトピックスを聞きながら、植物を取り巻く環境を多元的に捉え直すと、新たなアグリバイオ技術革新の方策が見えてくるような、そのような可能性を感じることができた次第です。(シンポジウムの要旨はこちらをご覧ください)。
  毎年行っておりますこのシンポジウムは、我々アグリバイオ研究者にとって、そして大学院生たちにとっても有意義なものとなっており、今年度のシンポジウムからも大きな刺激を受けることができました。 シンポジウム終了後は、例年通りにログハウスにおいて懇親会を行いさらに情報交換を楽しむことができ、私大戦略的研究支援プロジェクト主催の第三回目のシンポジウムを成功裏のうちに終えることができました。 画像 話題提供していただきました先生方、外部から参加していただいた皆さん、そして準備段階でご協力いただきました先生方、院生の皆さん、本当にありがとうございました。


プロジェクト代表
深溝 慶