
近畿大学大学院農学研究科におきましては、平成23年度より私立大学戦略的研究基盤形成支援事業
「環境調和を志向した革新的植物アグリバイオ技術の統合型研究拠点の形成」の支援を受け、アグリバイオ技術のさらなる革新をめざして研究を続けています。
そのような中で、より幅広く外部から、著名な先生方を通して最新のアグリバイオに関する知見および技術に関して、教えていただくような機会を模索してまいりました。
平成24年12月8日に開催されましたこの「アグリバイオ・シンポジウム2012」は、そのような趣旨で発案され、開催されました。
シンポジストとしてお招きした先生方は、すべて植物に関連する研究で顕著な業績を挙げられている研究者の皆さんです。まず最初に東工大の田中先生より、
植物の細胞周期におけるオルガネラと核との相互作用について巧妙なメカニズムについて説明していただきました。

次に、近畿大の川ア先生より、植物と病原微生物との相互作用において、
その微生物に由来するシグナルがどのように細胞内に伝達されているのか新たな知見を提供していただきました。さらに名大の芦苅先生にはイネの収量増大のためのアグリバイオ戦略に
ついて、多面的な開発研究が行われており、実用化にもかなり近い段階に入っていることを報告していただきました。京大の高林先生には植物と昆虫の間の相互作用ネットワークについて話題提供していただき、
このようなネットワークを利用した防除戦略を紹介していただきました。
京大の河田先生とサントリーの田中先生からの話は直接ヒトに関わる話でした。
河田先生は、トマトに存在する脂質代謝異常の改善につながる物質の単離とその効用について説明してくださり、

ヒトの健康維持に寄与する極めて有用な情報を与えてくださいました。
最後に田中先生からは、観賞用として用いられている植物において、いかにして青い花を作出するか、その方策について話していただきました(シンポジウムの要旨は
こちらをご覧ください)。
以上、ミクロな植物細胞から植物を中心として大きく果てしなく広がるヒトを含めた環境の中で、我々が植物に対して何をなしうるのか、最先端の話題が提供され、我々アグリバイオ研究者にとって、
そして大学院生たちにとっても大変刺激的で有意義な時間を過ごすことができました。

シンポジウム終了後は、ログハウスにおいてビールと食事を囲んでなごやかな雰囲気でさらに情報交換を行うことができ、このプロジェクトが主催する初めてのシンポジウムを成功裏のうちに終えることができました。
話題提供していただきました先生方、外部から参加していただいた皆さん、そして準備段階でご協力いただきました先生方、本当にありがとうございました。
プロジェクト代表
深溝 慶