
病虫害による被害は、世界中で、農業生産およびバイオマス生産に大きな損失をもたらしており、
安定的な農業生産とバイオマス生産を実現するための耐病性技術の開発が望まれている。植物は、
本来、病原菌の感染に応答して、様々な防御反応を迅速に誘導する能力を有している。そこで、本
研究プロジェクトでは、植物の病原菌認識受容体が病原菌の感染を検出し、その感染情報を細胞内
に伝達し、複合的な防御応答を誘導する機構を分子レベルで解明する。さらに、その過程で主要な
働きをしている植物免疫因子を同定し、それを応用することで複合的な防御反応を協調的に誘導す
る耐病性システムを構築し、それを農業作物やバイオマス植物に導入することで、環境保全型の新
鋭耐病性植物を開発する。また、開発したバイオマス植物の栽培化の促進は、バイオ燃料の高生産
を実現するだけでなく、光合成による大規模なCO2削減を可能とし、地球規模での低炭素化に貢献す
ると考えられる。