深溝 慶

植物酵素による病原菌および共生菌認識機構の解明

画像  植物に対する微生物の感染によって起こる病気は作物収量低下の大きな原因となっており、 それらをいかにして防ぐかは重要な問題である。より効果的な防除方策を開発していくため には、植物に存在する耐病性に関連するタンパク質と微生物表層分子との相互作用を構造生 物学的に理解することが必要である。本研究は、耐病性の植物酵素キチナーゼと真菌類表層 多糖キチンとの相互作用を構造生物学的に明らかにし、作物防除の新たな方策を分子レベル で設計し、実用化させていくことを目的としている。いくつかの種類の植物キチナーゼを大 腸菌で発現させ、リコンビナント酵素とキチンオリゴ糖との相互作用をNMR法、ITC法 どの物理化学的手法によって、分子レベルで明らかにする。一方で、得られたリコンビナン ト酵素を用いて結晶化を行い、さらにキチンオリゴ糖との複合体の結晶をも得る。得られた 結晶は、つくば市の放射光科学研究施設においてX線結晶解析を行い、キチナーゼとキチン オリゴ糖との原子レベルでの相互作用機構を明らかにする。  画像  画像