平成26年度研究成果報告会および懇親会

  画像平成27年3月3日(火)の13:00より、近畿大学農学部第一会議室にて、私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「環境調和を志向した革新的植物アグリバイオ技術の統合型研究拠点の形成」の 26年度研究成果報告会を開催いたしました。関係者48名が集まり、研究成果の報告および活発な討論がなされました。
  今年はテーマ2担当の深溝が最初に報告いたしました。キチンナノファイバーを用いた新規キチナーゼ活性測定法、新規キチナーゼ阻害剤の開発、 あるいは植物キチナーゼの結晶構造と糖転移反応触媒能との関係について詳細な解析がなされました。また、テーマ2担当の松田教授からは、除虫菊中のピレスリン生合成に関わるリパーゼの結晶構造およびその阻害剤の合成について、また、糸状菌が生産する昆虫制御物質の探索について報告されました。 いずれの研究も、植物と微生物あるいは昆虫との相互作用を担う物質の研究であり、新たなアグリバイオ戦略創出の可能性が示唆されるところです。一方、テーマ1担当の重岡教授の研究グループは、強光下で顕著なクロロシスを示す変異株の原因遺伝子は、 塩基性ヘリックスループヘリックス転写因子bHLH101をコードしていることをつきとめ、そのストレス応答との関連について報告いたしました。また、同じくクロロシス原因遺伝子MVS11の生理的な役割 画像についても研究がなされており、この遺伝子と鉄代謝やサリチル酸との関連についても考察がなされています。 同じくテーマ1担当の内海教授は、植物病原菌の2成分制御系において機能しているコネクター分子SafAとPhoQセンサードメインとの相互作用を、X線結晶構造解析および部位特異的光架橋法によって解析し、またヒスチジンキナーゼ阻害剤Waldiomycinの阻害機構をNMRによって明らかにしました。 最後は、川ア教授が植物の病原菌認識と免疫応答の分子機構について報告いたしました。シロイヌナズナから見出された免疫シグナルキチンの受容体と相互作用を行う因子PBL27について詳細な解析が行われており、植物病害シグナル伝達に関する新たな知見を得ることができました。 以上のような研究成果に基づき、植物を中心とした環境の調和を図るための新たな方策を立案することが今後の課題となります。報告会の要旨集は こちらをクリックしてください。
  夜は奈良の「つのふり」にて、教員、プロジェクト研究員、院生を交えて楽しい懇親会の一時を過ごしました。これらの研究の進展に大きく寄与しているのは、正しくこれらの研究員や院生たちであり、これまでのご協力に感謝する次第です。27年度もこれまで同様、 大いに研究を進めるとともに、このような楽しい場も盛り上げていきましょう。

プロジェクト代表
深溝 慶