平成25年度研究成果報告会および懇親会

  平成26年3月6日(木)の13:00より、近畿大学農学部第一会議室にて、私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「環境調和を志向した革新的植物アグリバイオ技術の統合型研究拠点の形成」の25年度研究成果報告会を開催いたしました。 関係者54名が集まり、研究成果の報告および活発な討論がなされました。
  昨年は川ア教授らの植物免疫応答に関する論文がCell Host & Microbe誌に掲載されましたが、植物の病原菌感染に対する分子応答のメカニズムに関してさらに詳細な解析が当研究グループによって続けられており、報告されました。 画像 また、重岡教授からは植物中でH2O2 および強光によって誘導されフェルラ酸ヒドロキシラーゼに関する研究成果およびホメオドメインロイシンジーッパー転写因子HAT1 がリプレッサーとしてストレス応答を抑制していることが報告されました。 ともに植物保全に大きく寄与する研究成果であり、このプロジェクトを大きく前進させるものと期待できました。 一方、内海教授らによるイネ苗立枯病菌の病原性因子トロポロンの産生が3成分制御系によってコントロールされていること、また白菜軟腐病菌の病原性を制御する二成分制御系の解析がなされ、それらの阻害剤のスクリーニング系が確立されたことも今後の植物保全に効果的に寄与するものと思われます。 休憩を挟んだ後、テーマ2の方の報告がなされました。昨年に引き続き、深溝教授らは植物キチン加水分解酵素とその標的オリゴ糖との複合体結晶構造およびNMR法による溶液中での相互作用解析がなされています。 また、同研究グループはキトサン結合ドメインを世界で初めて同定し、その研究成果も報告されました。 松田教授からは、環境に優しい昆虫制御技術の基盤を構築することを目的として、ピレスリン生合成に関与する酵素の速度論的解析、反応機構解析のための阻害剤合成などきめ細かな酵素学的な解析がなされていました。 画像 さらに、同研究グループは、除虫菊への遺伝子導入に向けて、効率の良い脱分化および再分化を可能にする培地条件を見出しました。 最後は、森山准教授のグループによって、汎アレルゲンのカタログ化、植物中のアレルゲンの変動解析などが報告された。またマスイメージングによる植物機能性成分の動態解析は、本プロジェクトで得られた新たな研究成果であり、今後のさらなる進展が期待されました。 以上のような研究成果に基づき、植物を中心とした環境の調和を図るための新たな方策をこれから考案していく予定です。 報告会の要旨集はこちらをクリックしてください。
  夜は西大寺の「小間蔵 hana」にて、楽しい懇親会の一時を過ごしました。このような学科研究室の壁を越えた教員および大学院生たちが互いに交流しあう場があることは、プロジェクトの発展のみならず、学部の発展にも大いに寄与するものだと信じております。 26年度もこれまで同様、大いに研究をし、飲み、話し、盛り上げていきましょう。

プロジェクト代表
深溝 慶