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研究テーマ
機能性成分を必要な臓器に届けるための研究


能性成分を必要な臓器に届ける
 
食品に含まれている成分のうち、病気を予防してくれる機能を有している成分を機能性成分と呼びます。機能性成分が効果を発揮するためには、目的臓器に必要量届くことが大事なのですが、生体の消化吸収・異物除去の過程を通過して、臓器に到達することはなかなかに困難です(機能性成分は体にとっては異物なので体は積極的に排出しようとします) 。体にとって異物である医薬品も同様にこの課題があり、目的臓器に薬物を届ける仕組み(ドラッグデリバリーシステム)の研究が行われています。我々は機能性成分の体内移行の向上に、「機能性素材の相性」を利用することができることを発見しました。


▲機能性成分の体内移行の重要性

サミン・セサモリンを届ける
 セサミン・セサモリンには様々な機能性があることが報告されていますが、体内に移行させるのはなかなかに困難です。我々は偶然ながら、ウコン精油を溶剤とすることで、セサミン・セサモリンの体内移行量が5-10倍上がることを見出しました(発表論文1)。食品に食べ合わせがあるように、機能性成分にも相性があるようです。興味深いことにセサミン・セサモリンはゴマから抽出されたものですが、機能性という観点で見た場合は、ゴマ油よりもウコン精油のほうが相性がずっと良いようです。



▲ゴマ中に含まれる機能性成分 セサミン・セサモリン


▲ウコン精油がセサミン・セサモリンの体内移行を向上させる


知機能維持効果のある成分を脳に届ける
 機能性成分同士には相性がある、という発見をもとに、認知機能維持効果があるといわれているイチョウ葉エキスの成分を脳に届けるための組み合わせの研究を行い、イチョウ葉エキス成分の脳内移行を促進する組み合わせを発見しました(発表論文2)。この発見をもとにブレインアシストが開発されました。


表論文
1 ウコン精油がセサミン・セサモリンの体内移行を増加させることを発見した論文
Using Turmeric Oil as a Solvent Improves the Distribution of Sesamin-Sesamolin in the Serum and Brain of Mice. Iwamoto K, Matsumura S, Yoshioka Y, Yamamoto A, Makino S, Moriyama T, Zaima N. Lipids. 2019 May;54(5):311-320. doi: 10.1002/lipd.12147.

2 イチョウ葉エキスに含まれる機能性成分の体内移行を増加させる機能性素材の組み合わせを発見した論文
Mixing Ginkgo biloba Extract with Sesame Extract and Turmeric Oil Increases Bioavailability of Ginkgolide A in Mice Brain. Iwamoto K, Kawamoto H, Takeshita F, Matsumura S, Ayaki I, Moriyama T, Zaima N. J Oleo Sci. 2019 Sep 4;68(9):923-930. doi: 10.5650/jos.ess19135.
※ブレインアシスト開発のきっかけの一つになった論文です。