マツタケは日本で最も高価な食用きのこですが、近年その生産量は年々減少しています。
マツタケをはじめとする菌根菌は樹木と共生しており、木材を分解し生育の栄養源とする能力が低いことが知られています。
現在、マツタケには腐生性があるといわれていますが、その能力は低く、マツタケはセルロースやデンプンなどの高分子多糖から効率よくグルコースを供給するルートを持たないとされてきました。
私たちの研究室では、マツタケを大麦を主固体培地で培養することにより、従来よりもはやい速度で菌糸成長できることを見出し、その際に従来非常に弱いといわれてきた、高分子多糖を分解するための酵素を生産することを明らかにしました。
また、同様の培地を用いることで、大量の菌糸体を短期間で調製できる技術を開発し、現在子実体発生に向けた刺激の検討などを行っています。
一般に、栄養分を十分に蓄えた栄養成長期の菌糸体に、温度や光などの刺激を与えると、生殖成長に移行し、子実体の形成が始まります。
しかしながら、栄養菌糸体から子実体原基形成の機構はほとんど解明されていません。
私たちの研究室では、これまでにプロテアーゼの阻害剤を添加してきのこを培養すると子実体の形成が促進もしくは阻害されることを明らかにしており、プロテアーゼが子実体形成機構の解明のカギとなると考え、検討を進めています。
精米方法を検討しなおすことで、玄米が持つ種々の機能性成分を残して精米する方法を幸南食糧株式会社とともに開発いたしました。
この精米方法を用いて精米した米は、通常の白米と同様の炊きあがり、食味を有しながら、ビタミンEなどの成分が通常の白米よりも多く残留しています。
現在は、機能性健康米協会(http://kenkoumai.net/)と連携して、米の健康機能性についての研究を進めています。